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【閑話休題】行政に研究者の行動倫理や処分まで丸投げするのは研究者自身の役割の放棄

今日もBMB2007ねたです.

以前,大隅さんのブログでも紹介されていた,日本分子生物学
会若手教育シンポジウムという企画を覗いてきました.
座長は,京大再生研の山中伸弥さん九大生医研の中山敬一さ
.講演者には,柳田充弘の休憩時間でおなじみの柳田充弘さ
ん,文科省ライフサイエンス課長の菱山豊さん,そして「論文
捏造」の著者で知られるNHKの村松秀さんという,錚々たる
顔ぶれがそろいました(男女比その他のバランスの問題はある
でしょうが).私の目の前には東北大の中山啓子さんが座って
おられました.

分子生物学会では,学会の評議員を務めていた杉野明雄氏が数
報の捏造論文を発表していたことが明らかになったことから,
柳田さんを委員長とする研究倫理委員会が設置され,論文調査
WGと若手教育WGの2つのワーキンググループが活動してい
ます.今回のシンポジウムは若手教育WGによる学会員向け教
育活動の一環という位置づけでした.

村松さんの「なめられる科学??」という話はたいへん興味深
く拝聴させていただきました.とくに「インターネットや書籍
などの一方的な発表や,メディアを悪用する科学者など,『科
学者に科学がなめられている』のなら,ねつ造が起こっても当
然」というひと言は,あとのパネルディスカッションでは座長
の中山さんからはほとんど無視されてしまいましたが,非常に
示唆に富んだ発言だったと思います.

パネルディスカッションは,大隅さんが予想していたとおり,
パネルのほうがよくしゃべり,かつ座長の中山さんもそのこと
を放任しているフシもあって,フロアからの意見は出されても
その内容には答えずに発言してもらうだけで終わりというパタ
ーンで,パネルだけ(もっとも盛り上がっているのは場をしき
っている中山さん!?)で話が進んでいる感じでした.

パネルで唯一面白いと感じたのは,会場から「日本の行政に,
アメリカのORI(研究公正局)のような役割を担おうという
気がないのか」との意見に,菱山さんがキレて「そういうこと
をやるのは(研究者の)みなさん.それを行政にただ投げるの
はやめるべき.自分を放棄しているとしか思えない.十分な権
限がないところで研究者を処分したとなると,裁判になった場
合に処分した方の責任が問われる.そこまで言うのなら制度設
計まで考えて言われた方がいい」と返した場面.自分たちのコ
ミュニティの中で自主的にマネジメントすべきものじゃないの
かなあと思うんですが...

自分たちが忙しいことをいいわけにして,自分たち自身のこと
を深く筋道も考えずに行政に丸投げしようとする,社会人には
あるまじき研究者の高飛車な態度に,菱山さんがここまできっ
ちりものを言うのは勇気の要ることだったと思います.改めて
菱山さんのことを見直しました.まして周りはみな研究者で彼
にとってはアウェーですから.

帰路,CoSTEP応援団のひとりと「なんでもひとに丸投げ
にして,自分の都合の悪いことはignoreする研究者コミュニテ
ィが,社会の中に存在しているということをきちんと認識して
変わっていかないと,今後伸びていかないよね」と話しながら
会場を後にしたのでした.相変わらずの研究者コミュニティは
今後,本当に自らの意思で変わっていくのでしょうか.

関連ブログエントリー:
週刊文春を読む、捏造と誤りのあいだで、(柳田充弘ブログ)
関東ローカルで「逮捕しちゃうぞフルスロットル」
(みちなりにすすもう)

関連ニュース:
シンポ:科学者の良心とは…不正対策で議論--日本分子生物学会
(毎日jp)


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コメント 4

応援団のM田

遅くなりましたが、先日のBMBではありがとうございました。
もし講演会などの後お話をさせていただかなければ、その内容についてよくわからずさらっとignoreしていたなと思います。おはずかしながら…。
とても勉強になりました。
少なくとも菱山さんや4日目のフォーラムの講演者が何を言ったかわかってそれを少なくとも頭の片隅に常に置いておけるようにならないとなと思っています。

それにしても研究者自身が研究者のコミュニティを守るっていうあたりの言説や自覚が研究者から遠いところにあるような気がするのが…。
by 応援団のM田 (2007-12-18 16:51) 

K_Tachibana

応援団のM田さま
コメントありがとうございます!
昨日は応援団の忘年会もあったんですね.写真拝見させていただきました.
挙手をして話された医薬基盤研・細胞バンクの水澤さんの話は見事に中山さんにignoreされてしまいましたし,菱山さんの話もなぜ彼があれほどまでに怒ったのかあそこの会場にいた研究者の多くは理解していなさそうだったので,誰かが解説する必要があったんでしょうね.本来はああいう場にこそコミュニケーターをおくべきなんだろうと思います.私はどちらの立場の意見も理解できましたが...

研究者自身が直接外の世界でどういう目で見られているか,ラボから外に出て自分の目で確かめたほうがいいでしょうね.私は境界領域で眺めているので,結構これからまずいんじゃないのかという印象はもっています.傍から警鐘は鳴らせても,実際にどう思うかは,研究者自身が意識しないとどうにもならないと思います.科学技術基本計画で「科学コミュニケーション」を謳いだしているあたりから,既に世間からは白い目で見られ始めているということを感づいてもいいと思うんですが...
by K_Tachibana (2007-12-18 22:19) 

MANTA

一研究者として考えさせられるお話です。
問題提起、ありがとうございます。
by MANTA (2008-02-01 12:25) 

K_Tachibana

MANTAさん
コメントいただき,ありがとうございます!
by K_Tachibana (2008-02-02 20:15) 

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